障害者にセックスするためのお金を市役所からもらうことができる

障害者にセックスするためのお金は市役所が出す?

月に三回年三十六回、セックスするお金を市役所からもらっています。相手はSARから派遣される女性で、年齢は四十歳くらいかな。ときどき、違いを比べるために、売春婦を利用することもあります」

五十五歳のハンス·ピックさんは食べ物の話をするかのように、あっけらかんと話をし始めた。電動車いすで移動し、思うように動かない手を使い器用に紅茶を入れてくれる。私は、障害者とセックスする相手を派遣する団体であるSARの会長マーガレットさんから、 「SARを利用する障害者に対して、三十六の自治体がセックスの助成金を出している」という話を聞いていた。障害者にセックスするためのお金を市役所が助成金として出すなんて、日本では到底考えられない。

ピックさんはSARから紹介された女性との関係をずっと続けている

ピックさんは、その助成金を出している市のひとつ、オランダ南部にある古い港町、ドルドレヒト市の障害者用のアパートに住んでいて、月三回のセックス助成を受けている。五年前に、女友だちから助成金があることを聞き、利用することにした。

しかし、助成金はSARだけが対象ではないのだろうか。「売春婦も試す」とはどういうことかと尋ねると、ピックさんは「なあんだ、そんなこと」というように笑顔で答えた。「SARでも売春婦でも新聞広告で募集しても、どれでも自由です。でも、私はSARから紹介された女性との関係をずっと続けています。売春婦は時間が短くてあっさりしているが、SAR の女性は一時間半と長い時間を取ってくれるところがいい。それに、彼女とは何度も会って、一緒に紅茶を飲んでいる。私の友達みたいに思っています。まあ、だけど、どちらもそんなに大きな差はないよ」

多くの介助者はこの仕事で生計を立てている

「その女性のことを気に入っているんですか?」
いえ、SARが推薦するのは、住んでいる地域が近い人が多いんです。私が住むドルドレヒト市だと、その女性を毎回推薦されます。特に、不満がないので、彼女でいいかなあと
そして、こう続けた。
「SARもしょせん売春ですから」
「SARは否定していますよ」

私はマーガレットさんの顔を思い出していた。
だれとでもベッドに入るんだから売春だよ。少なくとも、私のところに来る女性はほかに本業も持っておらず、この仕事で生計を立てています
「自治体の助成金をもらっていることに抵抗はありませんか?」
「このことは、数人の友人しか知りません。SARの女性が服を脱がせて、また元通りに着させてくれる。彼女が帰れば、だれにもわからないでしょう。介助者は女友だちが来ていると思っているみたいですよ」